記事: 軽井沢、犬と。

軽井沢、犬と。
私たちが実際に歩き、立ち寄り、また訪れる場所を。犬を連れてくることを考えている方へ。
軽井沢は長野県の小さなリゾートタウンで、東京から新幹線で約70分。浅間山の東側斜面、標高およそ1,000メートルに位置し、夏でも東京より10度ほど涼しい。8月になっても、森は青く静かなままだ。
数年前、私たちは愛犬の海とともに東京からここへ移り住んだ。すぐに気づいたのは、この町が犬中心の暮らしをごく自然に受け入れているということだった。特別なペット歓迎の方針があるわけでもない。軽井沢がもともと、外にいることを中心に作られた場所だからだと思う。散歩、サイクリング、どこへも行かなくていい長い朝。道は広く、時間はゆっくり流れ、多くのカフェや小さなレストランにはテラス席があって、犬を連れていても気兼ねがない。
これは、私たちが実際に使っている場所のガイドだ。網羅的なものではない。軽井沢にはカフェが何百軒もあり、ホテルも数十軒ある。そのすべてに行ったわけではないし、行けてもいない。私たちが伝えられるのは、ここに暮らしているからこそわかること。季節ごとに歩くべき場所、立ち寄る価値のあるカフェ、そして犬も自分と同じように歓迎してもらえる宿のことだ。
散歩コース
軽井沢の公共エリアでは、道でも公園でも商業エリアでも、犬はすべてリードをつけることが義務となっている。その条件の中で、狭いエリアに驚くほど多様な散歩コースが揃っている。私たちのお気に入りをいくつか紹介する。
ハルニレテラスと湯川
中軽井沢のハルニレテラスは、湯川沿いの木立の中に小さなカフェや店が集まった場所だ。どの時間帯に訪れても気持ちのいい場所だが、ここを起点に川沿いを南へ向かう森の散歩道が、訪ねてくる友人に私たちが一番よく勧めるコースになっている。平坦で木陰が多く、静か。片道20〜30分ほど。週末でも朝8時前に来れば、ほとんど貸し切りに近い状態で歩ける。歩いた後は、ハルニレテラス内のSAWAMURAのテラスでコーヒーと朝食を。
軽井沢に初めて来る犬にとっても、最初の散歩にちょうどいい。小型犬やシニア犬にも向いている。
雲場池
旧軽井沢の商店街から徒歩10分ほどのところにある、白樺と楓に囲まれた小さな池だ。ゆっくり歩いて一周40分ほど。10月中旬から下旬にかけて、木々が水面に映り込む景色はそれだけで訪れる価値がある。軽井沢でも特に人気のある場所なので、夏の週末は混む。平日か、朝9時前に来ると、別の場所のように静かだ。
紅葉のピークは例年10月中旬。小型犬やシニア犬にも向いている。
旧軽井沢から中軽井沢へ
町の二つの中心地は約4キロ離れていて、静かな別荘道路と短い森の道で繋がっている。公式なルートがあるわけではなく、どの道を選ぶかによって少しずつ変わる。方向感覚で歩く、というほうが近い。私たちは海と一緒に、どちらの方向にもよく歩く。東から西へ向かい、ハルニレテラスでコーヒーを飲んで終わるのが自然な流れ。ゆっくり歩いて約90分で、軽井沢の中でも最も静かな住宅エリアを通り抜けていく。片道なので、中軽井沢で車に乗せてもらえる家族や友人がいると帰りが楽だ。
後半の飲食セクションで紹介しているペットショップのBIRDIEがこのルート沿いにある。立ち寄る価値がある。
車の通行に慣れた活発な犬向き。
白糸の滝
軽井沢中心部から車で15分ほど。白糸の滝は、火山岩を伝って幅広く流れ落ちる、落差約70メートルの滝だ。アクセス路にはリード着用で犬も入れる。駐車場から滝まで往復で約30分。夏の週末は道中が混み、雰囲気が損なわれる。平日か、6月上旬または10月下旬に来るのが理想的だ。人が少なく、木漏れ日が柔らかく差し込んで、滝が見える前からその音が聞こえてくる。
小型犬やシニア犬にも向いている。
星野・中軽井沢周辺の森
星野エリアを訪れる人の多くは、ハルニレテラスを見て、それで終わってしまう。そこを囲む森は、カフェから見えるよりずっと広い。針葉樹と広葉樹が混じる森の中、古い遊歩道がテラスのずっと先まで続いていて、奥へ進むほど静かになっていく。ピッキオがこのエリアのトレイルを管理している。舗装路より木陰を長く歩きたいなら、問い合わせてみる価値がある。
小型犬やシニア犬にも向いている。

湯川ふるさと公園 ドッグラン
湯川ふるさと公園のドッグランは、軽井沢に住む人たちが犬を連れてくる場所だ。中軽井沢から車で少し走ったところにある静かな公園で、湯川のほとりに位置する。フェンスで囲まれた広いランで、ただ周回するだけでなく、ちゃんと体を動かせる広さがある。週末の朝は、地元の飼い主たちが集まっていることが多い。社交的な犬なら、1時間でも居心地よく過ごせる。雲場池や白糸の滝のような景観的な目的地ではないが、地元の人が日常的に使う、ちゃんとしたドッグランだ。小型犬用と大型犬用、二つの区画に分かれている。
駐車場は無料。軽井沢最大のスーパー、ツルヤが公園のすぐ裏にある。犬を走らせてから、そのまま一週間分の買い物ができる。ツルヤのジャム類は種類が豊富で、お土産としても楽しい。
社交的な犬向き。

湯川ふるさと公園から長倉公園へ
地元民にもあまり知られていない森道だ。湯川ふるさと公園のドッグラン脇の入口から始まり、幹線道路を渡って、湯川沿いに木々の中を中軽井沢まで続いている。片道30〜40分ほど。少し時間に余裕がある朝、静かな場所に行きたいときのために取っておいているコースだ。すれ違う人はほとんどなく、川の音がずっとそばにある。中軽井沢側の終点近くにある長倉公園には小さな神社があって、立ち寄るとちょっとした静けさがある。出発前にドッグランを使って、帰りに中軽井沢でコーヒーを飲む流れがよく合う。
熊野皇大神社
この神社で最も印象的なのは、その立地だ。碓氷峠の頂上、標高約1,200メートルに位置し、長野県と群馬県の県境に跨っている。本殿は厳密には二つの県に同時に存在している。創建は約1,900年前とされ、この地域でも最も古い神社のひとつだ。
犬は境内に入ることができる。その理由は、神社の由来に遡る。伝承によれば、日本武尊がかつて碓氷峠を越えた際、濃い霧の中を神の使いである鳥に導かれ、下りでは蛇に道を示されたという。動物がこの神社の成り立ちに深く関わっているため、古くから動物を迎え入れる慣習が続いている。境内には「わんこう社」と呼ばれる小さなお社まであり、犬の健康を祈るために建てられたものだ。
社務所では犬向けのお守りや祈祷のほか、食品安全なインクで犬の肉球を御祈願カードに押す儀式も行っている。私たちはここへ初詣に来るようになり、いつの間にか年に一度の大切な習わしになった。
どの季節に訪れても良いが、年末年始には特別な意味がある。ひとつだけ注意しておきたいことがある。神社は敏感な犬にとって予測しにくい環境になりやすい。鐘の音や突然の大きな声、混雑した時期の人の波。以前、海が東京の別の神社で戸惑ったのも、そういった刺激だった。音や刺激に敏感な犬は、人の少ない時間帯に訪れるといい。
飲食
軽井沢には、テラス席や屋外席で犬を歓迎するカフェやレストランが多い。以下のリストは網羅的なものではなく、私たちが繰り返し訪れている場所、あるいは初めて軽井沢に来る友人に自信を持って勧められる場所を選んだ。方針は季節によって変わることがあるので、訪問前に確認しておくといい。
Mona's Kitchen & Marketplace

旧軽井沢の銀座通りからすぐ、カナダ人オーナーが営む店だ。この長野でなかなか出会えない本格的な欧米スタイルのサンドイッチを出してくれる。中でも「Jammin' Piggy」のブレックファストサンドイッチがお気に入りだ。食料品コーナーも併設されていて、食事をしながら滞在中の買い出しもできる。規模は小さいが品ぞろえはよく考えられていて、昼食と買い物を一度に済ませられる。飾らない温かい雰囲気で、町一番の賑わいのど真ん中にある。犬はごく自然に迎えてもらえる。
Café Shozo Karuizawa Common Grounds
栃木の評判の高いロースターと繋がりのある店で、コーヒーはその質を反映している。外のテラスは大きさを問わず犬を歓迎していて、小型犬はお店が用意するカートに乗せれば店内に入ることもできる。急かされることなく1時間でもゆっくり座っていたい日にはここがいい。WiFiも無料でパソコン作業もできるので、散歩の合間に少し仕事をしたいときにも重宝する。
軽井沢のドッグフレンドリーカフェについて、少し補足しておく。そう名乗る場所は多いが、みんなにとって居心地のよい空間でいられるのは、犬がオーナーの傍で静かに落ち着いていられることが前提だ。当然の期待だと思う。席に着く前に頭に入れておいてほしい。
Sugar Spot Coffee
信濃追分駅の近く、たいていの観光客が足を延ばすよりもう少し西のほうにある。気づいたらよく来るようになっていた場所だ。開放感のある落ち着いた雰囲気で、小さなドッグランが併設されている。食事中も犬を自由にさせておける。ランからは浅間山が見える。コーヒー一杯の値段でこれだけの眺めが楽しめる場所は、軽井沢でもそう多くない。オーナーの熱心な野球愛がそこかしこに表れていて、店内は記念品でいっぱいだ。町のどこにも似ていない個性がある。オーナーの指導のもと、ラテアートに挑戦することもできる。
DOG DEPT + CAFE
新幹線で到着した場合、最初に目にするドッグフレンドリーな場所はここになるだろう。駅に近いプリンスショッピングプラザ内にあり、夏の週末に外を見ると、軽井沢を訪れる犬連れの多くがここを通るのだということがわかる。フードからアクセサリー、ライフスタイルグッズまで揃っていて、屋外スペースもゆったりとしている。軽井沢の旅の最初か最後に立ち寄るのが自然な場所だ。
Burger Mania Karuizawa
東京の人気バーガー店の軽井沢店。同じメニューを北へ持ち込んでいる。開放感のある店内と、夜になると灯りが輝くテラスが心地いい。犬は店内でも外でも歓迎される。日が落ちてライトが灯ると、1日歩き回った後に犬と腰を落ち着けるのにちょうどいい場所になる。気取らない安定感があって、チキンウィングを目当てに何度でも来てしまう。
BIRDIE
旧軽井沢と中軽井沢の間にある小さなペットショップ。国内ブランドや地元の商品を中心に、厳選されたトリーツやグッズを扱っている。隣にヨガスタジオがある。組み合わせとしては意外だが、朝のクラスを受けた後に犬のものを買って帰れるので便利だ。
宿泊
軽井沢は、日本のリゾート地の中でも犬を歓迎する宿の選択肢が幅広い。その背景には歴史がある。軽井沢は100年以上にわたって東京の家族の避暑地であり続けてきた。犬はずっとその一部だった。ここに挙げるのは、本当に歓迎してもらえると確認している場所だ。方針は変わることがあるので、予約前に直接確認することをすすめる。
Sun'sこもろシェルター 森のドッグラン
軽井沢から少し西の小諸にある施設だ。知っておいてほしい場面がある。自分が他のことで手が離せないとき、犬を預けられる場所が必要になるときだ。森のドッグラン内での宿泊預かりもデイステイも対応していて、一般的なペットホテルよりずっと良い環境になっている。夏に軽井沢周辺で多く開かれる結婚式に出席するとき、犬を近くに置きながらもきちんとケアしてほしいなら、ここを勧めたい。
オーナーは敷地内でアニマルシェルターも運営している。家族に犬を迎えることを考えているなら、そういう目的で訪ねてみるのもいい。
別荘レンタル
多くの犬連れにとって、フェンスで囲まれた庭付きのプライベートヴィラが、最も快適な軽井沢滞在の形だろう。共用スペースはなく、体重制限や他の宿泊客を気にする必要もなく、庭で犬を自由に動かせる。軽井沢の別荘貸し出し市場はよく整備されていて、Airbnbや軽井沢専門のレンタル会社が犬歓迎の物件を多数掲載している。予算に合わせて選びやすい。私たちが選ぶなら、囲われた庭と森道へのアクセスのしやすさを、ほかのどんな条件よりも優先する。
星野リゾート 界 軽井沢
星野エリアにある温泉旅館で、特定の部屋タイプで犬の同伴が可能だ。ハルニレテラスや湯川まで歩いていける距離にあり、玄関から森へ出られるような宿を求めているなら自然な選択肢になる。ペット同伴可の部屋の空き状況や体重制限は季節によって変わることがあるので、予約時に直接確認を。
ブレストンコート
中軽井沢の木立の中に建つ、ヨーロッパの古い邸宅のような雰囲気がある宿だ。一部のコテージ宿泊は犬と泊まることができ、敷地は静かで広い。ホテル内のレストラン「ユカワタン」は、軽井沢で特別な食事をするのにふさわしい場所のひとつだ。
オーベルジュ ド プリマヴェーラ
軽井沢駅から徒歩8分ほどのフランスオーベルジュ。実際の距離よりもずっと郊外にいるような静かさがある、珍しい場所だ。落ち着いた佇まいで、料理は本格的なフランス料理。軽井沢の中心部へ歩いて行ける距離でこれだけ個性的な宿は他にない。10kg未満の小型犬は限られた客室に同伴可。犬連れの宿泊客はテラスで食事をいただける。
夏のピーク(7月下旬から8月中旬)は、良い宿のペット同伴可能部屋が数ヶ月前から埋まる。秋は予約が取りやすく、費用も抑えられる。私たちの経験では、犬にとっても一番いい季節だ。
いつ来るか
軽井沢は季節によって表情が大きく変わる。いつ来るかは、特に犬連れにとって重要な選択だ。以下は、一年を通じてここに暮らす者として見た、各季節の実態だ。
春(4月〜6月上旬)

軽井沢の春は遅い。桜は4月末ごろ、町が緑に変わるのは5月中旬。東京より4〜6週ほど遅れてやってくる。空気は冷たく、道は柔らかく、町は静かだ。ゴールデンウィークだけは例外で、人が増え、リズムが少し変わる。南の農地方面へ向かうと、5月下旬には別種の静けさがある。農家が田畑を耕し、レタスの列が伸び始める風景だ。
マダニは4月から活動を始める。森道を歩くなら、来る前に予防薬を使い、散歩のたびに犬の体をチェックしてほしい。
夏(6月下旬〜8月)
夏は最も賑わう季節で、多くの人が軽井沢と聞いて思い浮かべるのもこの時期だろう。気温は平均22〜26度で、東京より明らかに涼しい。暑さが苦手な犬には、これが本当に大きな違いをもたらす。どこも開いていて、森は葉が茂り、町全体に活気がある。
夏はペット同伴可の部屋がすぐ埋まるので、早めの予約が必要だ。ハルニレテラスや銀座通り周辺は週末の午後に混む。朝の時間帯は涼しく、静かだ。
秋(9月〜11月)
私たちの一番好きな季節だ。気温はちょうどよく涼しく、9月中旬を過ぎると人が減り、木々の色づきは東京からの道のりを十分に報いてくれる。軽井沢を囲む落葉松の森は、10月中旬に特に見事だ。麓のリンゴ園もほぼ同じ時期に最盛期を迎える。信州リンゴが町のあちこちのメニューに登場して、薄切りにして犬にあげると、いいおやつになる。
犬と過ごす10月の軽井沢に、勝るものはない。
冬(12月〜3月)
冬の軽井沢中心部は静かだ。プリンスリゾートのスキーエリアを除けば、残るのはほぼ地元の人たちだけになる。タイミングよく雪が降れば、森の道が白く覆われる景色に出会えることがある。寒さと雪が好きな犬には、特別な静けさがある。冬はテラスが閉まっている店が多く、犬を連れていける場所は限られる。各スポットの営業日を事前に確認しておくといい。
実用情報
アクセス
軽井沢へは北陸新幹線で東京から約70分。JRの新幹線では、犬は認められたソフトキャリーに入れて膝の上か足元に置いて乗車できる。犬とキャリーを合わせた重量制限は10kgだ。車で来るほうが自由度は高い。中心部から外れた宿へのアクセスや、早朝からトレイルに出るときにも便利だ。
動物病院
軽井沢エリアの動物病院を以下に挙げる。祝日、特に年末年始は休診のところが多い。その時期に犬と旅行するなら、念のため東京か長野市の大きな動物病院の番号を控えておくといい。
旧軽井沢菊池動物病院 所在地:旧軽井沢 電話:0267-42-0012 ウェブサイト:http://www.animal-k.com/
中軽井沢どうぶつ病院 所在地:中軽井沢 電話:0267-31-5066 ウェブサイト:http://karuizawa-vet.com/
私たちが海を連れて行く病院だ。専門性の高さと、動物への接し方の優しさは、自信を持って勧められる。
西軽井沢どんぐり動物病院 所在地:御代田 電話:0267-41-0950 ウェブサイト:http://donguri-ah.net/
軽井沢ハーヴェストは、この土地が育てるものからできている。長野の森の鹿、農園のリンゴ。犬と一緒に軽井沢を訪れることがあれば、このガイドが少しでも役に立てばうれしい。
